日本バスケットボール協会(JBA)主催のスポーツパフォーマンスセミナーにて、「体幹トレーニングの原則」が紹介されました。
本記事では、セミナー資料をもとに、バスケ選手にとって重要な体幹の役割とその鍛え方を、わかりやすく解説します。
🔶 そもそも「体幹」とは?
体幹とは、頭・手足を除く胴体の部分で、運動の“中心”となる部位。具体的には、頸椎・胸椎・腰椎・骨盤周囲などを指します。
🟢 なぜ体幹が重要なのか?
- 腕や脚がパワフルに動くための「土台」になる
- 上半身と下半身をつなぐ「伝達経路」として機能する
- 体幹が安定すれば、無駄な動きが減り、効率的でケガの少ないプレーが可能になる
🟠 トレーニング原則:動かすべき部位と、安定させるべき部位
JBAのセミナーでは「モビリティ&スタビリティの連鎖理論」が紹介されました。つまり、身体の各部位は「動かす」べきか「安定」させるべきか、それぞれ役割があります。
モビリティ(動かすべき) | スタビリティ(支えるべき) |
---|---|
股関節、肩関節、胸椎 | 腰椎、膝、足、肩甲胸郭など |
👉 球関節(肩・股関節)は自由に動けるべきで、
👉 体幹(腰椎など)は動かないことが重要です。
🧱 原則1:体幹は「動かさず」に鍛える
✅ 理由:
- 腰椎は回旋や屈曲に強くなく、負担がかかりやすい
- シットアップなどは椎間板を傷めるリスクあり(※3350N以上の圧縮力で危険)
✅ 推奨されるトレーニング:
- プランク
- サイドプランク
- ブリッジ
- ローテーショナルプランク(体幹は止めたまま、四肢を回旋)
🧩 原則2:球関節(肩・股関節)は「動かしやすく」する
✅ 目的:
- 可動域の確保=ダイナミックな動き・スピードアップ
- 体幹が安定してこそ、腕や脚の自由な動きが可能に
🧍 原則3:胸椎は動かし、腰椎は守る
- 胸椎は本来、回旋に適した構造(12個の椎体)
- 腰椎は構造的に回旋に弱く、代償動作による腰痛の原因になる
✅ 胸椎ストレッチの例:
- 床に横になって両膝を立て、上半身だけ回旋するストレッチなど
🏀 トレーニングへの取り入れ方(現場活用術)
- ウォームアップに組み込む(1〜3分で可能)
- スキルトレーニングの合間にサーキット形式で実施
- 試合に出ていない選手に補強として活用
🚫 シットアップはNG?その理由
アメリカの軍事機関や研究者は、従来のシットアップを危険と判断し、代替エクササイズを推奨しています。
腰椎にかかる圧縮力が3350Nを超える → 「危険ゾーン」とされる
「腰を丸めて動かす運動」は極力避けることが安全です。
✅ まとめ:体幹トレーニング3つの基本ルール
- 体幹(特に腰椎)は「動かさず」に鍛える
- 肩関節・股関節は「動かしやすく」保つ
- 胸椎はしっかり動かし、腰椎の代償を防ぐ
🎯 最後に:完璧を目指しすぎないで
「完璧をGoodの妨げにしない」
―― まずは正しいフォームで短時間から。習慣化が最も大切です。