バスケの1on1で「フェイクに引っかかって抜かれた…」という経験、誰にでもあります。
でも実は、「見る場所」を変えるだけで反応の精度と守備成功率は劇的に変わることが、複数の研究で明らかになっています。

今回は、エビデンス(科学的根拠)をもとにした視線の置き方と読みのコツを、実践的に解説します。


■ エビデンス①:「どこを見ているか」でディフェンスの質が変わる

👉 研究引用
Williams, A. M., & Davids, K. (1998). Visual search strategy, selective attention, and expertise in soccer. Research Quarterly for Exercise and Sport, 69(2), 111–128.

この研究では、サッカーやバスケットボールにおける熟練者と初心者の「視線の違い」が検証されました。

🔍 結果:熟練者は相手の体幹(胸や腰)を見る時間が圧倒的に長かったのに対し、初心者はボールや足元に視線が散っていた。

このことから、体幹を見ることで本当の動きが読めるという理論が支持されています。


■ エビデンス②:視線誘導による“フェイク成功率”の研究

👉 研究引用
Sebanz, N., & Shiffrar, M. (2009). Detecting deception in sport. Psychology of Sport and Exercise, 10(1), 201–208.

この研究では、視線誘導による「意図的フェイク」に対する反応が調査されました。

🧠 結論:相手の目線や手の動きに注視した選手ほど、フェイクに引っかかりやすくなった。

つまり、フェイクを仕掛ける選手の“見せ方”に引っ張られすぎない視線戦略が重要だということです。


■ 科学的におすすめされている“視線の置き方”

以下は、トップレベルの指導者や研究者も推奨する視線の3ポイントです:

視線の場所理由効果
胸 or 腹体の中心で“本当に動く”場所フェイクに反応しづらくなる
足元ではなく骨盤ステップの意図が分かるカットの予測が立てやすくなる
相手の重心移動に注目実際の突破は重心とともに動く初動の予測が精度アップ

■ 実戦で役立つ「視線の読み」トレーニング

トレーニング法①:フェイク限定1on1

  • オフェンスは1回だけフェイクOK→抜きにくる
  • ディフェンスは「胸だけを見る」意識で読みを強化

トレーニング法②:リプレイ視聴+視線分析

  • 自分や仲間の試合動画で、どこを見ていたかを振り返る
  • フェイクで抜かれた場面の“視線ミス”を分析・修正

■ 指導現場での活用アドバイス(指導者向け)

🔹 視線を言語化させる
「今どこを見ていた?」「何で反応した?」と問いかけることで、選手が“無意識の視線”に気づけるようになります。

🔹 フェイク=リアクションではなく“選択”と教える
すべてに反応するのではなく、「これはフェイクだな」と選択する守備ができる選手はレベルが高いです。


■ まとめ:視線を制する=フェイクに強くなる

フェイクに引っかからない選手は、才能ではなく視線の置き方と判断力を鍛えています。
科学的にも、視線を「胸・体幹」に固定することで防御率が高まることは証明されています。

次の1on1から、“見る場所”を変えてみましょう。
守れるディフェンスは、「見る力」から始まります!


🔍参考文献

  • Williams, A. M., & Davids, K. (1998). Visual search strategy...
  • Sebanz, N., & Shiffrar, M. (2009). Detecting deception in sport...
  • Abernethy, B. (1990). Expertise, visual search, and information pick-up in squash...

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