小・中学生の公式戦(U12・U15カテゴリー)では、「ゾーンディフェンスは禁止」と定められています。
なぜそんなルールがあるの?本当は使った方が勝てるのに…と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、**ゾーンディフェンスがU12・U15世代で禁止されている理由と、その背景にある「育成の考え方」**について、わかりやすく解説します。
■ ゾーンディフェンスとは?
ゾーンディフェンスとは、「人」ではなく「エリア(場所)」を守る守備のことです。
選手がそれぞれ決まった範囲を担当し、相手がそのエリアに入ってきた時だけ守るというスタイルです。
一方、マンツーマンディフェンスは、特定の相手プレイヤー1人を責任持って守るディフェンスです。
■ U12・U15でゾーンが禁止されている理由は?
①【個人の守備スキルが育たない】
ゾーンでは「誰かの近くにいればOK」という感覚になりやすく、
- ドリブルを止める力
- スクリーンに対応する力
- 1on1で守る力
などの基本的なディフェンス能力が伸びにくくなると言われています。
➡️ 育成年代では「勝つこと」よりも「個人のスキル育成」が優先されるため、
ゾーンは封印され、マンツーマンで戦うことが推奨されているのです。
②【守る責任感と認知力が育たない】
マンツーマンでは、相手の動き、ボールの位置、仲間との関係を常に見て判断しなければなりません。
これは非常に高度な「認知力・判断力・コミュニケーション力」を必要とします。
ゾーンではその判断の負担が減ってしまうため、
“考える守備”が育ちにくくなるリスクがあるのです。
③【ゾーンは「戦術」だが、U12・U15は「育成の場」】
ゾーンディフェンスは、本来チーム戦術として非常に有効です。
しかし、U12 ・U15は「勝つ」ための試合ではなく、「伸ばす」ための試合。
勝つためにゾーンを使っても、選手一人ひとりの成長に繋がらないと判断され、
日本バスケットボール協会(JBA)でもU12・U15世代でのゾーン禁止を明言しています。
■ 実際のルールではどう定められている?
JBAのU15カテゴリーの競技規則には、以下のように明記されています。
「マンツーマンディフェンスの原則を尊重すること」
「ゾーンディフェンスは禁止とし、違反時は警告・テクニカルファウルの対象となる」
また、ゾーンに見えるような「ヘルプディフェンス」も、コミッショナーによっては厳しく取られることもあります。
■ 指導者の立場でも重要な考え方
育成を重視する指導者にとって、
「ディフェンスで手を抜けば攻撃も手を抜く」
という考え方があります。
つまり、守備から逃げずに取り組む選手こそ、攻撃も本気で取り組めるということ。
マンツーマンを通じて、選手の「責任感・判断力・身体能力・仲間との連携力」を育てることが、U12・U15の本当の目的なのです。
■ まとめ:ゾーンは封印、でも成長は開放!
バスケの本質である「1対1に勝つ」「相手と駆け引きする」力を育てるには、マンツーマンディフェンスが最も有効です。
U15世代でゾーンを禁止するのは、その時期にしか身につけられない**“本物の守備力”を育てるため**のルール。
ゾーンが使えなくても、守れるチームは強くなれます。
むしろ、マンツーマンで守れるようになった選手こそ、高校・大学・その先でも通用する選手になるのです。