はじめに
バスケットボールの指導において、単なる技術練習にとどまらず「ゲーム全体の流れ」を理解させることが、選手のバスケIQを育てるカギです。今回は、ユース育成コーチ研修会で紹介された**「ゲームモデル」**の概念を、わかりやすく紹介します。
ゲームモデルとは?
バスケットボールの1試合は、次の5つの局面に分けられます

- トランジション(Transition)
ボールが攻守で切り替わる局面。走りながら次の配役(キャスティング)を決めます。 - クリエイト(Create)
チャンスを作り出す局面。個人・グループ戦術で相手の守備を崩していきます。 - チャンス(Chance)
ノーマーク、ミスマッチ、カウンターなど、有利な状況が生まれた場面。 - ブレイク(Break)
ヘルプディフェンスやローテーションを突破しようとする攻撃の山場。 - フィニッシュ(Finish)
シュートで終わる最終局面。ここで決めきれるかが重要!
加えて、攻撃後のリクリエイト(再構築)、**サポート(Support)**も重要な視点として挙げられます。
ゲームモデルの活用がもたらす指導の質の変化
このモデルを活用すると、以下の点で指導の質が大きく向上します:
- 各局面で何を学んでいるかが明確に
- 練習、ゲームプラン、振り返りが一貫性を持つ
- 選手が“何を判断し”“何を身につけるか”を意識できるように
例えば、「フィニッシュ力」が低ければ、「クリエイト局面」の負荷が増し、戦術全体に影響が出ます。
マンツーマンルールの本質
特にU12~U15の育成年代では、マンツーマンでの指導が推奨されています。その背景には次のような理由があります:
- 個人のフィニッシュ力が高まる
- 1on1の技術・判断力が磨かれる
- 様々なディフェンス状況を経験できる
結果として、「バスケットボールIQの高い選手」が育ちやすくなります。
育成期に伝えたい3つのメッセージ
① 練習は5つの局面をすべて網羅しよう
「ピック&ロールだけ」「個人スキルだけ」ではなく、全局面に取り組むことが大切!
② フィニッシュ力を高めよう
最後に決めきれる力は、試合での安定感やチーム全体の余裕につながります。
③ 他のチームでも通用する選手を育てよう
その場しのぎの戦術でなく、どこでも活躍できる土台を身につける指導を!
おわりに
この「ゲームモデル」の考え方は、U12でも代表クラスでも変わりません。バスケットボールを断片ではなく**“流れ”として教える**ことで、選手の理解力と判断力は格段に高まります。
今後の練習やコーチングに、ぜひこの考え方を取り入れてみてください!